

オフショアファンドは運用会社や運用内容をはじめ千差万別です。すべてのファンドが優れているわけではありません。すぐれた運用成績はもちろんのこと信頼に足るファンドを選ぶ上での適切な評価について整理します。
ファンドを評価する上で、過去の運用実績を見ることは不可欠です。ただし、単純に収益率を比較するだけでは判断を誤ります。株式と債券を比較して、株式の方が収益率が高いから資産として優れていると決め付けるようなものです。大切なのは、リスクに見合ったリターンが得られているかどうかです。
資産運用の世界では、リスクを測る代表的なものさしとして「標準偏差」を用います。よく試験結果などで偏差値という言葉が使われるとおり、ファンドの一定期間ごとの運用成績を登場頻度で分布化し成績のブレを表現したものです。
グラフにしたときの中心部分(平均部分)が期待リターンで、期待リターンを中心に全体の3分の2の確立で登場する運用成績が「標準偏差」であり、投資の世界ではこれを便宜上「リスク」と読んでいます。極端に言えば、常に同じ成績を残した場合にはリスクはゼロとなるわけです。
「標準偏差」では、ブレ幅そのものを話題とするため、プラスの運用成績部分もリスクになります。損失の部分に着目したのが「下方リスク」。リスクが低くても平均リターンがマイナスの商品よりは、多少、リスクが高くても平均リターンがプラスの商品の方が優秀なのではという観点です。
リスクに見合ったリターンを得ているかどうかを表す指標にシャープ・レシオがあります。ノーベル経済学賞を受賞したウィリアム・シャープ氏が考案したことから名づけられたものです。複数のファンドを同じリスク度合いに均し、リターンの高さを比較することで、どれがより効率的な運用なのかを評価します。リターン割るリスクで計算され、数値が高いほど運用効率が高いと考えられます。
では、実際にファンドを選考するとします。運用成績を比較しようにも、まずはその対象を決めなければ話は前に進みません。
膨大なファンドを比較するには、分類という定義が重要になります。資産クラス、地域、セクター、投資スタイルといった妥当な比較ができるテーマを決めて分類するわけです。
例えば、アジアの情報通信系の中小型企業に割安株投資するファンドの中で評価するといった具合です。仮に上記のようなファンドが100本あったとしたら、この100本を運用成績、標準偏差、シャープ・レシオなどで比較します。
上位のファンドを選別し、さらに市場平均の動きなどと比較して、長期間にわたり安定的な成績を上げているかどうか精査します。具体的な数字を用いて評価するため、こうしたアプローチは「定量評価」と呼ばれます。
定量評価だけでは十分ではありません。今後も安定的な運用成果を期待できるかどうか、運用体制をチェックすることも欠かせないのです。
具体的には、運用会社の財務内容、スタッフ数、運用体制、ファンドマネージャーの経験や実績などを評価します。とくにヘッジファンドの場合は、私募が中心のため情報の透明性に欠けるので、事前に信頼できる会社や商品であるかどうか入念に確認・分析することが大切です。
こうしたアプローチは、数字では表せない部分が多いため「定性評価」と呼ばれます。
私たちのような投資アドバイザーは、定量評価、定性評価によって高品質なファンドを選定し、場合によっては組み合わせることでお客さまに有利なグローバル投資をご提案します。ただし、お客さまの立場で考えれば(すなわち私たちの立場で考えても)、本当に重要なのは投資を始めてからのモニタリングです。
いうまでもなく、市場や投資環境は刻々と動いています。その変化によって、ファンドにどのような影響が出ているかを監視し、当初予定していたような運用結果になっているかどうか、定期的に調査分析する必要があるのです。
同じ資産クラスのファンドでも評価が高まったファンドが現れれば、入れ替え(スイッチング)を検討したほうがよいときもありますし、ポートフォリオ運用では各ファンドの成績の違いで投資配分比率が変わってしまったら、当初に修正するようなリバランス(再配分)も必要です。